第1章 (色々な意味で)めげるな!祝え!
リヴァイから逃げろと言われたナナシは慌てて窓際に寄り窓を開けたが、
それと同時にエルヴィンが部屋へ入ってきた。
黒々しいオーラがその身体から放たれ、
その蒼眼も仄暗い光を発しているようにしか見えなかったが、
ナナシの姿を視認するとニコリと綺麗な微笑を浮かべる。
「ナナシ、君に用があるのだが少し付き合ってくれないか?」
「い、嫌だ。断る」
「これは雇い主としての命令だ。従え」
「絶対嫌だ!」
ナナシが窓から外に飛び出したのと同時に、
エルヴィンも立体機動措置のワイヤーを射出させ外へと飛び出した。
部屋に取り残されたリヴァイとハンジとミケは、
窓から外を見遣り凄絶な鬼ごっこが始まった事を悟る。
リヴァイは舌打ちしながら、ハンジとミケに追うよう促した。
「俺達も立体機動装置を装備して、あいつらを追うぞ!
このままじゃ宿舎がぶっ壊されちまうかもしれないからな」
「わかった。おまえはエルヴィンが何であぁなったか知っているのか?」
「クソメガネが一服盛りやがったせいだ」
「えっ!?あたしのせいなの!?
リヴァイがあのケーキ食べればエルヴィンも
あんな風にならなかったんだよっ!?」
「てめぇがケーキに何も入れなきゃ何の問題も無かったんだよ、
クソが!!」
「えぇ~でもエルヴィンは超元気になったじゃん。
効能はバッチリだったよ!?」
「・・・・・・・・・てめぇには後でたっぷり仕置きをくれてやるぞ、
クソメガネ」
今はハンジに何を言っても無駄だと判断したリヴァイは
話を切り上げ、倉庫に保管していた立体機動装置を装着し
二人の後を追った。
案の定、二人が通った後は破壊されまくっており、
その惨状に三人は苦い顔をする。
このままでは宿舎に多大な被害が出てしまうと
危機感を募らせながら先を進むと、
女のような悲鳴が聞こえてきたので、
三人は現場に急行した。