第1章 (色々な意味で)めげるな!祝え!
夕方になると厨房は当番の兵士が夕食を作るので早々に明け渡し、
ナナシは小振りのシフォンケーキとクッキーを持って
リヴァイを探した。
確か予定では訓練を終えて戻ってきているはずなので、
兵舎のどこかにはいるはずだ。
リヴァイの執務室を訪ねると彼はそこで書類仕事をしていたらしく、
ナナシは丁度良いとばかりにお邪魔させてもらった。
これ以上兵舎を彷徨いてエルヴィンに見つかりでもしたら
面倒な事になりそうだったからだ。
あれは本当に諦めの悪い男なので・・・。
誕生日プレゼントとして
シフォンケーキとクッキーを作ったのだと告げると、
リヴァイは表情を和らげふっと笑った。
普段見ないリヴァイの笑顔は破壊力があるなと素直に思う。
多分世の女子はコレに弱いだろう。
「丁度甘いもんが食いたいと思ってたとこだ。
今食っても構わねぇか?」
「あぁ、無論だ。お主のために作ったのだから好きな時に食ってくれ」
「ついでに何か茶でも淹れてくれ」
「わかった」
シフォンケーキに合うようにブラックコーヒーを淹れると、
リヴァイが「花茶じゃないのか?」という視線を投げてきたので、
「こっちの方がケーキやクッキーとの相性が良いのだ」と告げると
素直に納得してくれた。
「おまえが言うならそうなんだろうな。頂きます」
こういう所が本当に好ましい性格である。