お姉ちゃん大好き(黒子紫原ショタ夢)ライバルは赤司様
第1章 お姉ちゃんと一緒
「うわああああ!うわああああ!!」
敦君が嬉しそうに声を上げる。
あたしの実家の中で。
「これも、あれもおいしそうだし~」
「どれでも好きなもの試食していいよ。裏に試食用があるから」
「いいのっ~!? じゃあぜ~んぶっ」
「おなか壊しちゃうよ?」
「全然平気だしっ」
あたしはそのまま敦君をお父さんに紹介して、試食品をもらった。
お父さんは大きな子だねと笑っていた。
けど、その言葉に彼は少し不満そうだった。
(大きいって言われるのが嫌なのかな……)
あたしにぴったりくっついたまま黙々と試食しては顔を輝かせる敦君はかわいい。
「!
おいしいしっ。ぜ~んぶおいしいし。オレ誕生日ここでケーキ買ってもらうし~」
「そう、ありがとう」
口にクリームついてるよ、というとん、っといって敦君は顔を突き出してきた。
ふき取ってあげると満足げに笑った。彼はどこか世話を焼かれなれてるような雰囲気がある。
「と結婚したらここのケーキ食べ放題だね~」
「たくさん働けば買い放題だし、作れたほうが食べ放題だよ」
「と結婚して、ケーキ職人になったら食べ放題?」
「……あたしと結婚してもいいことないよ」
洋菓子店の娘ってところに惹かれてるんだろうけど、ほかは普通の女の子だし。
かわいくも頭良くもないし。
「オレとペア組んでくれたしっ」
「それだけ?」
「だって~みんな俺スルーしてくし」
(それは多分1年生だと認識されてなかったんじゃ……)
とは子供に言えるはずもなく。
「気のせいだよ」
「本当~?」
「本当」
じゃあ食後にジュースでも飲もうね、と言ってあたしが立ち上がると敦君は露骨に喜んだ。
それから週に1回、木曜日はあたしの家に敦君がやってくるようになった。