お姉ちゃん大好き(黒子紫原ショタ夢)ライバルは赤司様
第1章 お姉ちゃんと一緒
征十郎君の家は広かった。
大きくて格式のある、そんな感じ。
いかにもお金持ちの家だなあ。
庭園もあって、車も高そうなのが何台もある。
まるで漫画の中のお金持ちのようだ。
「父様はあまりオレの相手をしてくれなくてね、呼び出すのに苦労するかと思ったけど、今の婚約者と別れたいというと飛んで帰ってきてくれたよ」
「あたしは」
「いい家柄のお嬢様でね。気立てもいいんだけど俺は興味がないんだ」
あたしのいう事を征十郎君は聞かない。
敦君はずっとあたしに抱き付いて警戒するように周りを見渡している。
「征十郎」
「父様」
頭のよさそうなお父さんは、高そうな服を着ていた。
「これが、新しい婚約者候補かい?」
「そうです」
「なんともまあ平凡な子じゃないか。私は認めないよ」
「あの、あたしっ」
「さんはとても素敵な方です」
「彼女のために市立をやめたんだったね。……まあ、公立を味わっておくのも将来のためだ。それはいいと思うが、まだお前は自分で伴侶を決める能力はないよ」
コホンとお父さんは咳き込んでいった。
「中等部に上がって、いい成績を残して、その時に……彼女を落とせていたら……どうかね? 征十郎。まだ落とせてない女性を婚約者にというのはどうかと思うよ」
「僕がいつ落とせてないと言いましたか」
たしかに、そんなことは一言も言っていない、
「彼女の顔に出ている。それに」
「それに?」
「そこにぴったりくっついてるナイト君も、納得していないようだったしね?」
くすりとお父さんは笑って敦君を見た。
敦君はお父さんをにらむ。
「父様……」
「私はお前の選んだ女性が気になったが、だいぶ年上のようだからね。焦らずともいいだろう、婚約は、このままだ」
征十郎君が悔しそうな顔をするする。
敦君がほっとしたような顔をした。
私も胸をなでおろす。
「必ず僕は、彼女を手にして見せますから」
「がんばりなさい」
そう征十郎君は言って踵を返したので、あたしたちはそれに続いた。
「遊園地、だめにして悪かったね、今度はもっと大きな場所に行こうか」
敦君はそれに答えない。
「……オレは、渡さないよ? はオレのだし」
「さあて、どうかな? 可能性はどちらにもあると思うけどね」
「オレのほうが先にあったし」
「そういうもんだいでもないだろう」
「む……」