第1章 冷たい朝日
右腕に力を込めて聞いてみる。
「…してほしくないの?」
「してほしいよ」
間を置かずに出た答えに此方がキョトンとしてしまっ た。苦笑してしまう程に。
トロンとした目で、紅色に染まった頰で、艶めかしい唇で、夢は俺を求めて居た。
もう抵抗しないそのしなやかな肢体は俺を欲情させた。再度脚の付け根に手を当てがうと、ぁ、という吐息とも喘ぎ声ともつかない小さな声が返ってきた。
其処は俺の物を受け入れる為に、既に充分に濡れている。
嗚呼、なんて愛しいんだろう、この俺の恋人という生き物は…。
「…蛍、もっと、触って」
小さく、でも熱を帯びた夢の声を聞いた。冬の冷たい空気を感じながら。
この行為を終えて、一眠りして目覚めた頃には、冷たい朝日は温かくなっているのだろうか。