第1章 冷たい朝日
なんとなく、いつもよりも早く目が覚めて、それは冬の凍りつくような空気が窓を伝って部屋まで降りてきた事実に起因していることに気がついた。
気づけばもう12月だった。
烏野を卒業してから、ぬるま湯のように幸せな時間が駆け足で過ぎてゆくのを俺は感じていた。
ブラインドカーテンを指でこじ開け 隙間から外の景色を見やると、朝日が視界をにじませる。
極めて明るい黄色から、オレンジ、紫、浅い藤色にグラデーションした空は不思議に美しく感じてしまう。
漏れ出た光の筋は、俺の隣で裸のまま、か細い寝息を立てて眠っている女の頰を一直線に差した。
黒く長い髪が、白いベッドシーツに映えて花のように広がっている。不健康なほど白い肌は、自然の光に照らされて輝いていた。
「…蛍、眩しい、ばか」
不機嫌な声がする。