第9章 花火大会【土方十四郎】
凛は立ち並ぶ屋台から少し離れた所でうち上がる花火を見ていた。
凛「土方さん…」
空に咲く大輪の花はとても綺麗なのに、凛の顔は涙に濡れていた。
凛「土方さん、私の事好きじゃないのかな…」
言葉にしてしまうと、それが真実としか思えなくなって、もう凛の目に花火は映らなかった。
凛「帰ろう…」
重たい腰を上げたその時
男「お嬢ちゃん一人?」
男「そんな所に一人でいたら危ないよぉ?」
男「恐ぁいお兄さんが来ちゃうかも。」
チンピラ達に絡まれた。
凛「もう帰るところです。どいてください。」
男「じゃあ帰り道送ってあげるよ♪」
凛「結構です。離してください!」
無視して逃げようにも、腕を掴まれてしまった。
男「いいじゃん。お兄さん達とイイ事して遊ぼうよ♪」
凛「いや!誰か助けて!」
男「周りは皆花火に夢中だ。誰も気付かねえよ。」
見渡すと、確かに周りは皆花火に釘付けだ。
人混みから離れているため人も少ない。
男「観念しな。」
凛「嫌!離して!」