第33章 期末テスト【3Z 沖田総悟】
「好きじゃないんですかい?こういうの。」
「いや、あの…好き……だけど…」
「けど?」
「好きな…人限定……なので…あって……」
「違うんですかい?」
さらにグイと引き寄せられる。
恥ずかしくて伏せた目は、目の前の総悟の唇を捉えた。
「なん…知ってるの……」
「聞きやした。」
「へっ⁉︎誰から⁉︎」
「口論してたとこ。」
「え?…あっ‼︎」
可愛めの女の子に嫉妬で、地味な癖にウザい、私の方が好きな気持ちは勝ってる、と言われたのにカチンときて言い返した事があった。
『あなたはその可愛い顔を武器に総悟に言い寄ってるんでしょ。私は私で勉強という武器で総悟の隣にいるだけ!好きな気持ちは一緒、武器が違うからって想う気持ちに優劣なんてない‼︎』
「あれ、知って…」
恥ずかしくて、自分の顔が耳まで真っ赤になっているのが見なくても分かる。
その口論は数ヶ月も前。
総悟は凛の気持ちを知りながら、ずっと黙っていたのだ。
「いつ言うんだろうと思ってやした。」
「言うつもりなんてなかった…今の関係でもすごく心地よかったから…」
総悟は何考えているの?
黙っていた総悟の真意も分からず、恥ずかしさがピークに達して凛は今にも泣きそうになっている。
「なに目に涙溜めてやがんでぃ。」
「だって…っ!…んんぅ‼︎」
総悟が凛を抱き寄せ、二人の距離がゼロになった。
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