第15章 初詣【沖田総悟】
今、俺はかぶき町近くにある小さな神社に初詣に来ている。
新年だからか、まだ朝早いというのに人でごった返してやがる。
神様も繁盛してんな、おい。
「ちょ、沖田さ…待ってくださいよ!うわっと!!」
「メス豚の名に恥じないトロさですねぃ。放置プレイでもご所望ですかい。」
「んなワケあるかっ!!」
この、俺の後を必死についてくる女…
一応俺の彼女、一ノ瀬凛。
こいつとの出会いは大江戸病院だった。
凛はそこの看護師だった。
姉上ミツバの婚約者だった、武器密輸などの犯罪に関わっていた転海屋のボス、蔵場当馬を討とうとしていた時のこと。
危篤状態の姉上を病院に置いて行こうとした俺に凛は後ろから声をかけてきた。
『沖田さん…』
『……最期が近いからついていろ、とでも言う気ですかい。残念だがそれは聞けねえ。俺は行く。』
今にも死んでしまいそうな家族についていろ、と言うのは看護師として当たり前の事かもしれない。
『でもこれだけは…譲れねえんでさぁ。』
『…………分かりました…ならもう止めません。』
俺はビックリして振り返って顔を見た。
『沖田さんが戻ってくるまで、お姉さんの事は任せてください。一言も交わせないままお別れなんて、絶対にさせません。』
そう言った凛の真っ直ぐな目線に…俺は落ちた。