第11章 誕生日(冬ver.)【坂田銀時】
好きな人との時間はあっという間に過ぎるもので、気づくと凛の家に着いていた。
「今日もわざわざ送ってくれてありがとうございました。あと…誕生日を祝ってくれて本当に嬉しかったです!」
玄関の前で凛は銀時にペコリと頭を下げた。
短い時間だが、二人きりで歩けた事も嬉しかった。
「んー…ああ…。」
だがすぐに万事屋に戻ると思った銀時が、歯切れの悪い返事と共に頭をポリポリと掻く。
寒いから即刻踵を返すと思ったのに。
「銀さん?どうしたんですか?」
「えっとな…」
銀時はおもむろに懐から小さな箱を取り出す。
「ほらよ。」
そしてそっけなく凛の目の前につきだした。
その小さな箱は丁寧にラッピングされている。
「これ…は…?」
まさか…
「…その…あれだ…プレゼント。」
凛は驚きと寒さで震える手で箱を受け取る。
「お祝いしてくれるだけで充分なのに……」
「…いらなかったか?」
「そんな事無いです!すごく…嬉しいです…っ!!」
貰えるとは思っていなかったプレゼント。
好きな人からだと思うと余計嬉しい。
「神楽とか新八には内緒だぞ。」
照れくさいのか、10時の方向を向いて凛と目を合わせない。
「分かりました。本当に…ありがとうございます!」
今日一番の笑顔を浮かべると、横目で凛を見た銀時も満足そうに口の端を緩めた。