第3章 2人の気持ち
委員会の用事が終わり、私は1人教室でカバンの中身を整理していた。
時計の針は6時を過ぎて外は既に暗くなっている。
そろそろバスケ部も終わる頃かな。
暗くて怖いし笠松がまだ学校に居たら一緒に帰ってもらおう。
スマホを取り出し電話を掛けようとする。
すると教室のドアが急に開き、つまづく様に森山君が入ってきた。
「も、森山君?部活終わったの?お疲れ様。」
突然の彼の登場に声が上ずる。
「あ、あぁ。ありがとう。……。」
会話が続かない。
やっぱり私、嫌われてるんだ。もう帰ろう。
「じゃあ、私は帰るから教室の消灯よろしくね。」
と言って彼の横を通り過ぎようとした時、
「待って。」
彼に腕を掴まれた。
「あの、ちょっとだけ話を聞いて欲しいんだ。」
少し緊張しているのか掴んでいる彼の手が汗ばんでいる。
「急に、こんな事言われて嫌かもしれないけど。」
「俺、ちゃんの事が好きです。」
なんで?
話した事ないのに?
これ、いつも他の女子に言ってる冗談?
だったら残酷すぎる。
森山君の顔は真っ赤で冗談を言っているようには見えない。
けれど心の隅で彼の告白を100%信じることができない気持ちがあった。
「本当?」
聞きながら声が震えて泣きそうになる。
冗談だと言われたらこの場で泣き出してしまうかもしれない。
「本当だよ。俺、こんなんだから信じて貰えないかもしれないけれどちゃんの事は本当に好きなんだ。」
真っ直ぐ私を見つめる彼は、あの日体育館で好きになった時と同じ真剣な瞳。
彼から目を離す事ができない。