第30章 目利きと宝と掘り出し物
私がぐでーんと3人の後ろについて歩いていると、人が多い市場に入った。
「…あれ?何だろこれ」
よくみると市場全ての品物に白い紙がついていて値段らしきものも書かれている。
「ここは値札競売市なんだよ」
「ねふだ…??」
「この白紙の値札に買い手が金額を記入していくんだ」
立ち止まっている私に気づき、レオリオが説明してくれた。
「んで、規定時刻までに最高価格を書いた人が落札するんだ…ほら、人気の品はこんな風に後からどんどん価格が書き直されていく」
「ほんとだ!」
へぇぇ~、こんな競売もあったりするんだ。
案外楽しそうだな。
しばらく進んでいくと、ゴンがひとつのお店の前で足を止めた。
「どうしたゴン」
「………」
ゴンはひとつのナイフを手にとって、じっと見つめる。
……え?ゴンってそんないびつな形したナイフが好きなの!?ギャップ萌え!!
するとキルアが小声で
「レオリオ、交渉うまいだろ?なんとかあのナイフ今すぐ手に入れてよ」
お宝かもよ、とキルアがささやくと、レオリオは頷いてゴンの横へ移動した。
「キルア…あれがお宝?」
「まぁ見てろよ」
言われた通りしばらくレオリオの交渉を見ていると、なんと300ジェニーでナイフを手に入れてきた。
どんな競り方したんだよ!!
「間違いない、本物だ」
手に入れたナイフをじっと観察してからキルアが言った。
「一体なんなんだ?これ」
「りんごの皮剥き機?」
「お前の体を剥いてやろうか」
「ごめんなさい」
本来なら少しいやらしく聞こえるはずのセリフなのになぜだろう、殺意しか伝わらない。
「ベンズナイフだよ」
「ベンズナイフ?」
「そう、ベンニー=ドロン。100年前くらいの大量殺人鬼なんだけどさ、ベンズナイフってそいつのオリジナルブランドなんだ」
「へぇぇ~」
大量殺人鬼のブランドはさすがに知らないなぁ。
「何でキルアはそんなに知ってるの?コレクター?」
「いや、親父が好きだったから覚えてたんだ」
「で、それいくらするんだ?」
「番号によって全然値段は違うけど……安くて500万」
「マジ!?」