第5章 黒尾鉄郎
貴「ごめんなさい、迷惑かけちゃって。その制服、音駒だよね」
黒「はい、もしかしてOGですか?」
貴「そうなの、懐かしいなぁ」
とニコリと笑った。
貴「じゃぁ、私商談があるから。ありがとう」
そういって急いで鞄を持って走って行ったが・・・。
おいおい、一つ鞄をわすれてるぜ。
俺は彼女を見失わないように雑踏の中を走り追いついた。
貴「あれ?どうしたの」
黒「鞄、忘れたろう?」
彼女は顔を真っ赤にした。
ごめんなさい。私うっかり者なのよね、とペロリと舌を出しあどけない顔で笑った。こうやっていると俺より年下みたいだ。
これ、と彼女は自分の携帯番号とメアドを書いた名刺を渡した。
貴「お礼をしたいから連絡してね」
そういって、彼女は去って行った。
桜井つばさ。それが彼女の名前だった。