第31章 笑顔の行方(茂庭 要)
・・・何か、茂庭さんが喜んでくれると嬉しいな。彼の行動の一つ一つに反応してしまうのは一目ぼれっていうものなのかも。
あ、いけない。大事な事忘れてた。
貴「あの、すみません。小梅を病院に連れて行って下さったんですよね。その治療費をお支払いしたいんですけど、今持ち合わせがないのでとりあえず金額教えてもらっていいですか?」
茂「そうだった、俺もうっかりしてた。母親が領収証を持ってるから、ちょっと待ってて」
そしてしばらくして戻ってきた茂庭さんは私に謝った。
茂「ごめん、今買い物行ってていないもんだから、後で連絡していいかな?よかったら連絡先教えてくれる?」
貴「は、はい!」
こうして私たちは連絡先を交換した。う、嬉しい・・・。
でも今度来たときに治療費を渡してしまったら、茂庭さんに会えなくなるような気がする。えぇい!思い切って言っちゃえ!
貴「あ、あの突然ですけど茂庭さん!!私、好きです!・・・えっと猫が」
私は肝心なところで怖気づいてしまった。茂庭さんはと言えばポカンとした顔をして、それから大声で笑われてしまった。
絶対変な子って思われた・・・。終わった。私の恋・・・。
そんな私を気にもせず茂庭さんは
茂「うん、俺もなんだかんだ言って好きだよ」
と屈託のない笑顔でかえされ、私はますます好きになってしまった。
そうして、小梅を連れ家に帰り一安心したところで捜索に協力してくれた堅治に連絡をし、二人でご飯を食べに行った。
でも、堅治には保護してくれた人が茂庭さんで、彼を好きになってしまったなんて照れくさくて言えなかった。だって絶対にからかわれそうなんだもん。