第29章 lovesickness 2 (月島 蛍)
保健室から出ると影山君が待っていた。
貴「え、影山君?わざわざ待っててくれたの?」
影「お前の事叩いたやつ、俺のクラスの女子だろ?何でこんなことになったんだ」
貴「ごめん、それは人のプライパシーに関わることだから・・・言えない」
影「・・・そうか」
影山君は頭をかきながらボソリといった
影「・・・困ったら言えよ」
貴「あ、ありがとう」
バレーにしか興味がないと思っていた影山君の思いがけない言葉が心細くなっていた私の心に沁み、素直に嬉しかった。
貴「そうだった。ハンカチ新しいの買って返すね」
影「あ、そんなもん別にどうでもいい」
貴「そんなわけにはいかないよ。影山君が来てくれて助かったし・・・、嬉しかった」
私は影山君に笑いかけると彼は何故か顔を赤くしそっぽを向いた。
影「そうか・・・。役にたったんなら・・・」
貴「何?」
影「・・・いや・・」
その時予鈴のチャイムが鳴り、私たちは互いのクラスに戻った。
私は手当をしてもらった額を鏡で確認するが結構ガーゼが目立ってる。
私はガーゼが隠れるように前髪を横に流して、教室の後ろからそっと入り、月島君と山口君に見つからないように席に座る。二人は私より前の席だから授業中は大丈夫なはず。
部活までには血は止まっているだろうし、ガーゼとって隠せば大丈夫かな?
それにしてもあの二人、どうしたらいいんだろう。今さら月島君に送ってもらっているのを断るのも逆に不自然だし・・・。
・・・佐竹さんって可愛い人だった。もし、彼女と月島君が付き合うことになったら、もう月島君と音楽の話もできなくなっちゃうのかな・・・。
何だろう、この気持ちは・・・。前までは月島君と何話していいかもわからなかったのに・・・。何でこんなに二人の事が気になるんだろう。胸がモヤモヤする。