第29章 lovesickness 2 (月島 蛍)
月島said
月「ところで、何でそんなところ怪我してんの?」
いつもの坂ノ下商店。風が吹いた時、桜井の額に傷があるのを見つけた。
貴「えっと、ちょっと転んじゃって」
彼女は顔は笑っているが目が思いっきり泳いでる。ホント嘘つけない性格だよね。
月「君、嘘つくの下手。何?僕に言えないようなコトなの?」
昼休み、あまり噂の良くない女の子が彼女のところに来ていたのを知っていたので聞いてみたら、案の定彼女は挙動不審になっている。
貴「あの、その・・・。あ、そうだった、用事があるから今日の帰りは大丈夫!お先に失礼します!」
月「あ、ちょっと!」
桜井は走り出し、その後を追いかけようとしたとき影山も同じように走り出した。
影「桜井待てよ」
月「何で王様まで来るわけ」
僕は影山の肩をつかみ走るのを止める。
影「今は俺の方が役に立つ」
月「は?何自意識過剰になってんの?!」
澤「おいおい、いいかげんにしとけよ~」
菅「追いかけるなら早くいかなきゃ。見失うべ~」
ふと見るともう桜井の姿はなかった。
影「げ!いない!月島のせいだ。このボゲェ」
月「言いがかりもいいとこだよ。ホント迷惑な王様だよね」
といっても、彼女は運動が苦手で持久力もないから見失ったとしてもそんなに遠くには行っていないはず。おそらくどこかに隠れて僕らをやり過ごし、こっそり一人で帰るつもりなんだろう。
不本意ながら影山と二人彼女を追いかける。
途中の三叉路で影山が桜井の帰り道を猛ダッシュで走っていったのを確認し、僕はもう一つの道に入っていく。この道を少し行くと大きめの公園に着く。おそらくそこで隠れている可能性が高い・・・かな。