第29章 lovesickness 2 (月島 蛍)
影山君が走り寄って来てくれた。
影「桜井、大丈夫か?額から血が出てるぞ」
貴「むしろ痛いのは頬の方なんだけど・・・」
影「・・・これ使え」
影山君がハンカチを傷口に当ててくれた。
貴「ごめん、ありがとう」
私は借りたハンカチで傷を抑えた。その時日向君がやってきた。
日「おーい、影山何やってんだよ。ってつばさケガ?!」
影「実は・・・」
貴「お願い。皆には言わないで。女の子のモメ事で男の子が入ると余計こじれるし、変な噂になるとバレー部に迷惑かかるかもしれないから・・・。」
影「でも、お前怪我したんだぞ」
貴「今度何かあったら必ず清水先輩に相談するって約束するから、お願い」
日「何かよくわかんないけど、とりあえず保健室行かなきゃいけないだろ」
影「・・・俺が桜井を保健室へ連れて行くから、お前練習してろ」
日「お、おう」
私一人で大丈夫と言ったが影山君は私の手をつかんで、保健室まで連れて行ってくれた。
影「お前、ああいうコトよくあるのかよ」
貴「初めて・・・ではないかな。中学の時ちょっとね」
私は言葉を濁した
中学時代、顔見知りの子から私と仲のいい男友達への手紙を頼まれたことがあった。
可愛い子だったし、彼がその子と上手くいくならいい事だと思った。でも男友達は私の事が好きだった。そして女の子は腹いせに私のありもしない噂を立てた。
結局、噂が噂を呼び学年中の女の子から虐めの標的にされた。あの時の事を思うと今でも心が凍りそうになる。その時一緒にいてくれていたのが幼なじみの真帆と菜摘だった。
彼女たちがいなかったらどうなっていたかわからない。それ以来、人が怖くなって慣れないとうまく話せなくなってしまった。
同じ中学の子が少ない学校に入り、バレー部も楽しくなってきて大分平気になってきたと思ったんだけど・・・・。あんな思い二度としたくない・・・。