第15章 complex (及川 徹)☆
昼休みになり購買でパンを買う。・・・どこか静かで落ち着く場所がないかな・・・。屋上、うん。天気もいいし行ってみよう。
うっし!誰もいない。静かだしゆっくりできそう。
私はフェンスに背中を預けメロンパンの袋を開ける。今日はのんびり本でも読んで・・・
及「はーい、つばさちゃん」
顔を上げなくても声の主がわかった。なぜ、貴重な昼休みも会っちゃうんだろう・・・。
及「一緒にご飯食べよ」
私の返事を聞かずに及川さんは横に座った。
岩「桜井、悪いな」
岩泉さんは苦笑している。
貴「いえ、岩泉さんが謝る事なんかないです」
私は岩泉さんに笑顔を向ける。
及「何で岩ちゃんには優しいのかなぁ」
貴「別にそんな事ないですよ。それより及川さんの方こそ、なんで私なんかのところに来るんですか?ファンのキレーな人たちが沢山いるじゃないですか」
及「だって及川さん、君のコト気に入っちゃったんだもん」
貴「なっ・・・!」
私は不覚にも顔が赤くなった。及川さんはイケメンだ。こんなこといわれたら、誰だって舞い上がってしまう。
及「やっぱり、可愛いね」
貴「・・・私、平穏に過ごしたいんですよ。及川さんと一緒だと私ファンの人にニラまれるし迷惑です」
及「う~ん、俺は君と一緒にいたいんだけどなぁ。あ!今日、練習試合があるから見に来てよ」
貴「行きません」
及「じゃあ、放課後教室まで迎えに行っちゃうよ」
貴「イ・ヤ・で・す!迎えに来られるくらいなら自分で行った方がマシ」
及「じゃぁ、決まりね。絶対に勝つから」
貴(・・・く、、くっそぅ。ハメられた)
私は奥歯を噛みしめた。
岩「及川、無理強いすんなよ。桜井、来たくなかったら来なくていいからな」
貴「はぃ・・・」
及「岩ちゃん余計なこと言わないでよ~」
その時予鈴が鳴った。
岩「ほれ、教室戻るぞ」
教室へと向った二人の後姿を見て、私はため息をついた。