第15章 complex (及川 徹)☆
及「おはよ!つばさちゃん」
登校中、及川さんに見つかった。っていうか私、名前教えてないんですけど?
貴「・・・おはようございます。・・・なんで私の名前知ってるんですか?」
及「君、雑誌の読者モデルやってたでしょ?思い出したんだ」
貴「・・・同性同名の違う人じゃないですかね」
及「俺、一度見た可愛い子の顔と名前は忘れないから」
及川さんはにっこりと笑った。
及「・・・うん。やっぱり髪の毛、下した方が可愛いんじゃない?それにダテ眼鏡も似合うけど、取った方がきれいな眼が見えていいよ」
私は相当、苦虫を噛み潰したような顔をしていたんだと思う。
岩「おい、クソ川。明らかにイヤがってるじゃねーか。女が誰でもお前になびくと思ったら大間違いだ。いい加減にしとけ!」
岩「えーっと・・・」
貴「あ、桜井つばさです」
岩「桜井、悪かったな。このバカには言い聞かせておくから」
貴「ありがとうございます」
うん、岩泉さんはいい人だ。
及「ずるいよつばさちゃん、岩ちゃんには名乗って。及川さんいじけちゃうよ?」
岩「うるさい。行くぞ」
岩泉さんは及川さんの首根っこを捕まえて連れて行ってくれた。あぁ、周りの視線がイタイ。私はその視線から逃げるように学校へと向かった。