第15章 complex (及川 徹)☆
余りにも頭に来て、午後の授業は全然頭に入らなかった・・・。ほんとに失礼な人だ。
・・・さて、授業も終わったし帰ろう。
ん?なんだか廊下から黄色い声が聞こえて来た。
「キャー、及川さん!!」
「今度の試合も頑張ってくださいね!」
え、及川・・・。嫌な予感がする。
廊下を見ると及川さんと目がばっちりと合った。及川さんは手をひらひらさせ、私に近づいてきた。
及「は~い、白猫ちゃん忘れものだよ」
そういって、ハンカチを私に差し出す。
貴「・・・わざわざ、ありがとうございます」
及「うわ~、そんな嫌そうな顔しなくてもいいじゃない」
貴「いえ、もう一生会わなくていいですから。では、さようなら」
私はぺこりと一礼し、家に帰った。
はぁ、入学早々面倒な人に関わってしまった。なんでも及川ファンクラブなるものまであるらしい。近づいたら、ファンのお姉さま方が黙ってないだろう。勝手に巻き込まないでほしいものだ。
中学の時は散々だったから、目立たず、平穏ですごしたいがため、ダテ眼鏡をかけ、髪も一つ結びという地味な姿で通しているというのに・・・。
中学時代。私は某ファッション誌の読者モデルをやっていた。声をかけてくれる子もいたけど、それ以上に妬む女子が多かった。
同性の嫉妬ほど怖いものはない。さわらぬ神にたたりなし。
明日は平穏に過ごせますように・・・。