第14章 猫災 (影山飛雄)☆
次の日の朝、目が覚めるとつばさはまだ眠っていた。俺は彼女の寝顔をしばらく堪能する。そのうち、つばさがもぞもぞと動きだし目が合った。
影「おはよ」
貴「お、おはよう。・・・何か恥ずかしい・・・」
布団にもぐりこもうとするつばさを抱きしめる。しばらくそうしていたが、練習の時間が迫ってきていた。
影「・・・悪い、今日も練習あるから・・・」
貴「わかってる。飛雄、先シャワー使って。私、ご飯の準備しとくね」
微笑むつばさにキスを落とし、俺は風呂場に向かった。
シャワーを浴び、さっぱりした俺は脱衣所で服を着ていた。
飛(ん?)
俺がヤツの気配を感じた時にはもう遅かった。
ガリガリガリッ!
影「痛って――!!」
貴「飛雄?!コラ、ソラまたこんな事して!!」
背中がヒリヒリしている。つばさは泣きそうな顔だ。
貴「ごめんね飛雄。私がゲージから出しちゃったから・・・」
影「いや、お前のせいじゃねーし」
つばさが救急箱を取りに行っている間、俺は鏡で背中を確認する。肩から腰に掛けてハデに引っ掻かれていたが傷はそんなに深くなく、うっすらと血が滲んでいる程度だ。
とりあえず、練習の邪魔になりそうなので消毒液だけ付けてもらった。
貴「大丈夫?」
影「平気だ」
貴「ごめんね」
つばさはシュンとしている。
影「すぐ治るから気にすんなよ」
貴「・・・うん」
影「うわっ、悪い。急がないとマズイ!」
貴「あ、ご飯出来てるよ!」
俺は急いでご飯を食べ、つばさの家を出る。
貴「いってらっしゃい」
影「おぅ」
・・・うん、つばさに”行ってらっしゃい”って言われると何かテレるな。そんな事を思いながら俺は学校に向かった。