第14章 猫災 (影山飛雄)☆
つばさの家に着きチャイムを鳴らす。インターフォン越しに彼女の声が聞こえた。
貴「はい」
影「俺」
貴「いらっしゃい。鍵開いてるからどうぞ」
俺は玄関のドアを開けた。
そこに出迎えていたのは、玄関マットの上にちょこんと座っていた青い目のクロネコだった。
ヤツは俺の顔を見るなり”シャ―――”と逆毛を立て威嚇をしてきた。
影(・・・なんだコイツ、俺の家に入るな的な態度は)
俺は猫を睨み返す。
そのうちパタパタとスリッパの音がし、奥からつばさが出てきた。彼女はワンピースに白いエプロンを着ている。・・・可愛い。
貴「あ、こらソラ。飛雄に威嚇しちゃダメ。仲良くしてね」
影「・・・この猫、前に話してたヤツか?」
彼女の友達のところに仔猫が生まれ、そのうちの1匹を引き取ったらしい。
貴「そう、男の子で”ソラ”って名前なの。かわいいでしょ」
影「あ、あぁ」
彼女はソラを抱き上げ嬉しそうにしているが、ヤツは俺を睨んでいる。
俺(・・・俺にケンカ売ってんのか?)
貴「もうすぐ、ご飯出来るよ。その前にお風呂沸かしてあるけど入る?」
つばさの顔は、ほんのり赤くなっている。
影「入る」
貴「バスタオル用意してあるから使って」
影「おぅ」
影(やっぱ、緊張するな)
俺は”初めてのお泊り”の不安を取り除くように、浴槽に沈み顔を洗った。