第6章 5日目
「答えろ」
駄目だ、頷けない。
私は狩人で、もうすぐこの方たちと離れて敵同士にならなければならない。だから...駄目なのだ。
「...殿は」
「火薬の匂いがする...差詰め狩人といったところだろう。何故その狩人が私達の住処にいる?」
「そ、それは」
答えなくては、私は修行に来ててそして、そしてたまたま会ってしまって、一緒にいるのだと。
でも、口が思うように動いてくれない。
「...ッ」
「貴様...」
「まぁまぁ、ね?ほら、人間だって色々あるんだよ。かつて凶王と恐れられたアンタにだって事情はあったんだろ?」
色々と、ね。
そう佐助に言われれば、三成は視線をおろしてまた舌打ちをした。
「...好きに歩けばいい、だが覚えておけ。私は裏切りを一番に嫌う」
身をひるがして森の影へと消えて行ってしまった。
「あれは...」
「石田殿は認めて下さったのであろうな」
ほっこりとし、去っていった道を見つめていた幸村。
「今日の所は帰ろう、風魔、お前はどうする?」
ぱくぱくと口を動かして黒梟に姿を変えた。
「風魔もついて来るってさ」
心強いね、と佐助もどことなく嬉しそうだった。きっと当時の仲間と共に行動できるのが嬉しいのだろう。
「幸村、帰るけど...大丈夫ですか?」
「はい!某は姿を見れただけで安心致しましたのでっ」
また虎になり、私を乗せてくれる。
帰りは休憩せずにあちらのほうに帰るらしいので恐らく早く着くだろう。
「じゃあ、また機会があったら凶王さんに会いに来ようぜ」
はい、と頷いて私も出発に備えて体制を整える。