第6章 5日目
高い山へと登り、少し空気が薄くなったかと感じた所で私達は立ち止まった。
「この辺ですか?」
「うむっ」
どこかそわそわしている幸村は1度人間の姿をしてから大きく深呼吸をし、また虎の姿へ戻った。
佐助は人間の姿をし、その幸村の様子を見ていた。
「旦那嬉しいんだ、すごく久しぶりに会うからさ」
「どれくらい前にあったんですか?」
「いま俺様たちが住んでる山に来る前が最後だったかなぁ」
と、いうことは軽く20年程は会っていないという事だ。
もし私が中のいい友達とそれだけあっていなければ悲しすぎて泣いてしまうだろうに。そんな暇も、無いということだろうか。
「あ、きたよ」
東の空を見上げると、とても大きな黒梟が羽ばたいていた。
佐助が片腕を上げるとふっと姿を消し、いつの間にか地上に足をつけていた。忍らしいといえば忍らしい。
「久しぶりだな、元気だったか?」
「...」
こくり、一度頷いた。
「は、初めまして。私はと申します」
恐る恐る名乗ってみるとまた頷いてくれた。よろしく、とでも言ってくれているのだろうか。
「こいつは無口っていうか...喋れないんだ」
「そうなんですか...?」
「昔ね、喉やられちゃったみたいでさ」
佐助がそういうと黒梟の方は自分の喉を指差した。
そこには痛々しい傷跡が残っており、そうとうな深い傷だとわかる。これでは致命傷だろうに。
「ま、その後は俺様たちと同じさ」
あの血の池に呼ばれた、ということらしい。
「....」
首を横に振る黒梟。きっと私がそのことを聞いてよかったのかと心配しているのを感じとったのだろう。
「あ、そうだ、お名前...」
「風魔小太郎、風に悪魔の魔、あとは普通に小太郎ね」
「は、はいっ風魔さんですね」
よろしく、と小太郎は私の手を取り緩く降った。
キツい、というのは表情だけのようだ。目もとは良く分からないけど、佐助と同じようにペイントが施されている。一見怖そうな人だが、よけ観察してみれば感情は読み取れる。
感情といっても表情にはでていないのだが、行動や仕草でわかる。