第6章 5日目
「あ、そうだ」
「?」
食事が終わり、机の上を片付けている途中に思い出した。以前幸村が言っていたことを。
「2人のほかにもこうして化けられる獣はいるんですか?」
一部は化けられると聞いた。その一部とはこの2人だけなのだろうか時になった。
「いるよ」
他にもこの森に化けられる獣が住み着いているらしい。今までに会うことはなかったがこの周辺にいるのだろうか。
「どんな方なんですか?」
「無口な黒梟、銀色の猫、かな」
黒梟、猫、この辺では見たことがない。
「ここらにいるんですか?」
「いや、もっと西の方だよ」
「会うことは可能でござる!」
銀色の猫、と聞いたとき幸村は少し嬉しそうだった。そうみるに仲が良いのだと感じる。
「ええと...大丈夫ですかね」
「どっちもキツいけど、まぁ素直な奴らだよ」
是非とも会ってみたい。
私は頷いて会うことを決めた。どうせなら色々な人達と会ってみたい。
「では陽が真上に来たら出発致そう」
幸村も佐助も少々嬉しそうに準備をし始めた。
「あ、そうだ」
佐助が大きく伸びをして私の方を見た。
「無口な黒梟はいいんだけど、銀色の猫さんには気をつけた方がいいかもよ?」
「えっ」
しかし幸村と仲がいい(予測だが)のならば性格は相当良さそうなイメージだった。
猫というからそっけない、そう考えても良かったのだが幸村の性格で虎、と考えるとあまり性格と動物の姿は関連していないと思ったのだが。
「結構冷たいんだ。初対面の人にはね」
詳しく話を聞けば黒梟も銀猫も男性らしく、同じ戦乱の世を生きていた同志なのだという。
黒梟は忍、銀猫は武将だということだ。
「ま、嫌わないでやってよ」
苦笑いをこぼした後、また準備に取り掛かる。
少し不安にはなったのだが興味は湧いてきた。