第1章 はじまりの春
そこには
二宮和也
と書かれていた。
でも二宮くんが
フリガナのところを
ハンバーグみたいに
かわいい手で隠すから
漢字が読めない。
二宮くんはこっちを見て
ニコニコしている。
その笑顔、ぜったい
確信犯ですよね?(笑)
二宮くんの目が
ほら、はやく読んで
って私をせかす。
かずや
か
かずなり....
「えっと....にの、みや...
.....かずなり...くん?」
当たってますようにー!!
すると二宮くんは
ふにゃんと
とろけそうなくらいの
笑顔をこっちに向けてくる。
『ん、正解でーす(笑)』
そのかわいい笑顔に
私はほんとに溶けてしまいそう。
「あ、よかったぁ....////」
自分でもわかる。
顔が赤くほてっているのが。
二宮くんがふっと
目を細めた。
そして私の席を指差して
『ほら、
もうそろそろ座ったら?』
二宮くんにうながされ
いそいそと席につく。
急いだせいで
椅子に
足をぶつけてしまった。
うしろから
クスッと小さく
笑う声がした。
その笑い声でさえも
いまの私には
くすぐったくて甘い。