第2章 僕の特別はあなただけ*黒子*
昼食の後、昼休みの時間を図書室で過ごすのが習慣になった。
人気がない中で本を読みながらも、実際物語の内容はあまり頭に入ってこない。
扉が開く音が聞こえた瞬間、入り口に視線を撮すと、彼女が嬉しそうな顔をして駆け寄ってきた。
「テツくん、待った?」
「いいえ。僕も今来たところですよ。」
向い合って席につき、声のボリュームを少し下げて他愛もない話をするこの時間は、一日の中で唯一共有できる大切な時間だ。
共通点が「図書委員」ということしかない僕達。
彼女は一つ年上で、部活も違う。
何故彼女が僕に好意を持ってくれたのか、今でも疑問に思う時があるけれど。
「そういえばさん、来月の部活の予定が出ました。この日休みなんですけど、どこか出かけませんか?」
「本当!?行く行く!」
さんは気持ちが昂ぶり、思わず声が大きくなってしまったことに気付いて、周りを見渡した。
頬を少し赤く染めてはにかむ顔を見て、年上の彼女にもかかわらず、「可愛い」と思ってしまう。
幸せだ、と感じるし、こんな穏やかな気持ちがずっと続けばいいと思う。