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黒子のバスケ*Short Stories4

第3章 この気持ちを何と呼ぶ*紫原*


自分の気持ちの名前がわかってから少しして、ちんと日直の当番になった。

「日直だから」っていう変な理由で先生から雑用を頼まれて、放課後の教室に二人きりになった。

資料を分けながらも、目の前に座ってるちんを意識してると、どうやら視線に気付かれたみたいで、伏し目がちだった瞳が俺の方に向けられた。

「どうかした?」

「んー…もうすぐクラス替えだし、ちんとこういうこと出来なくなるんだろーなーって思って。」

「そうだね…。」

そう言ったちんの表情が少し寂しそうに見えた気がして、さらに言葉を続けてみた。

「…あのさー、もし俺とクラス離れたら寂しい?」

俺の問いかけに対して、ちんは言葉を選ぶように答えてくれた。

「…紫原くん話しやすいし、こうやって話せなくなるのは寂しいかな。」

お世辞かもしれないけど、同じ気持ちでいてくれたことが嬉しくて。

こんなチャンスはもう来ないかもしれないと思って。

気付けば口から正直な気持ちが溢れてしまっていた。

「俺は嫌だよ、ちんと毎日教室で会えなくなるの。だって俺ちんのこと好きだから。」

わざと逸らしていた視線をゆっくりとちんに向けると、ほっぺたが真っ赤になって、固まってしまっていた。

「…ちん?」

ちんの顔の前で手をひらひらさせてみたら、我に返ったみたいで、ふぅーっと一息ついていた。

「…正直ね、今混乱してる。紫原くんのことそういう対象に見てなかったはずなんだけど…好きだって言ってもらえて嬉しいし…。ドキドキしてるのがずっとおさまらない…。」

「じゃあさー、すぐ決めなくてもいいから、これからお試しで一緒にいてくれない?それならどう?」

するとちんはこくりと小さく頷いて、柔らかく可愛い笑顔を見せてくれた。

俺の気持ちは「恋」っていう名前だったけど、その気持ちは何て呼ぶ?

その答えがわかるのは今じゃなくていいからね。

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