第9章 *A guardian deity
サーブを打つべくダンダンとその場でボールを弾ませる影山くん。
いつもよりずっとボールに精神を集中させているのが分かって、もう私なんか気にしてないだろうけど一応邪魔しないように体育館の端へ移動する。
ドッ
勢いよく打たれたボールが、的であるペットボトルの正面へと飛ぶ。
「当たる…!」
思わず口に出たその瞬間、突然ボールとペットボトルの間に人影が現れた。
「日向!!?」
「うい゛っ!!」
人影の正体……日向は影山くんの打ったサーブを正面から受け、勢いに負けて転がった。
「おい邪魔すんなボゲ日向ボゲェッ
今当たったかもしんねえのに!」
「取った!?おれ取った!?」
「取れてねぇよボゲェ!ホームランだアホォ!!」
「まぁまぁ……でも今ちゃんとボールの正面入れてたじゃん」
「谷口さん…!あ、待っておれがボール取ってくるから!」
怒鳴り散らす影山くんを宥めつつフォローを入れると、日向は嬉しそうに顔を上げ、ボールを取るためギャラリーの梯子に手を掛ける私を制止した。