第7章 * "Great King"
烏野側のベンチに戻れば皆が心配をしてくれていた。もう体調が良くなったことを伝えれば、皆安堵の表情を浮かべて"よかった"と言ってくれた。
気にかけていた日向も、いつの間にかいつも通りの彼に戻ってて一安心だ。
―そして試合は3セット目、24vs21で烏野のマッチポイントへ。
ピーッ
選手交替の合図で、アップを終えた及川さんがピンチサーバーとしてコートに入る。
ピッ
試合再開のホイッスルが鳴り、及川さんはサーブトスを上げた。高くて、それでいて正確なトス。
キュッと足を踏み切って跳んだ彼の姿に、背筋にゾクリと冷たいものが走った。
勢い良く放たれたそのボールは月島くんの真正面へと一直線に飛んでいく。
「うっ!」
ゴッと鈍い音をたててボールは二階席に弾かれた。
…すごい威力……それに、正確なコントロール…
「これが……青城の主将……!」
続く2本目も月島くんをピンポイントで狙い打つ及川さんのサーブ。
月島くん自身も、悔しいのか顔を歪ませる。
「…よし 全体的に後ろに下がれ。
月島は少しサイドラインに寄れ」
「ハイ」
それを見兼ねた澤村先輩が守備範囲を広げる。
「…でもさ 一人で全部は―――
守れないよ!!」
それでもボールは月島くんの真正面に迷いなく向かっていく。
…でも、さっきより威力は弱い………!
とれる………っ!!
「ツッキー……!!」