第6章 *Participation。
―月曜日―
私は今、とある違和感を抱いている。
昨日の部活が終わった頃から、日向がおかしい…気がする。
今朝廊下ですれ違ったとき話しかけても、どこか上の空だったし…。
もうすぐ練習試合なのに…大丈夫なのかな…?
「―…って、あれ………?」
昼休みに一人でそんなことを考えていると、たまたま何処かへ歩いて行く日向らしき後姿が見えた。
「日向ー!」
「ヒィ!?……あ、谷口さん…!びっくりした…」
「…日向大丈夫?」
「だっ、大丈夫っ!!おれ、明日の練習試合頑張るから!いっぱい点とるし!囮もやるし!!クイックだって……!!!」
「ちょ、ストップストップ!」
ガチガチに固まって語り出す日向をおさえる。
おそらくこの日向翔陽という男、すこぶる緊張している。
本人は気づいてないみたいだけど、"ド緊張しています"って顔に書いてある。
「……あのさ」
「ア゛ッ、そういやおれ職員室呼ばれてたんだった!!ごめん谷口さん、また放課後な!!」
「エッ、あ……………っ日向!!」
そう言って廊下を駆け出した日向を慌てて呼び止めれば、彼はその場で駆け足をしながら振り返って「なに?」と小首を傾げた。
「職員室、逆方向!」
こんな調子で、彼は本当に大丈夫なのだろうか…