第5章 *Place to stay。~Chance~
「だけど
―あんな風になりたいって思っちゃったんだよ」
日向くんが言う"あんな風"が何を指しているのかは知らない。だけど日向くんと同じように、私にも憧れの人がいる―…。
「だから、不利とか不向きとか関係ないんだ。
この身体で戦って、勝って 勝って
もっといっぱいコートに居たい!」
「―…!」
…私もそうだった。
どんなに辛い練習でも、どんなに苦しくても、バレーが好きだから。勝ちたいから。
強豪校にだって勝って、それからもどんどん勝ち進んで……
ずっとずっと…コートに立って居たかった。
「…だからその方法が無いんでしょ。
精神論じゃないんだって。"キモチ"で身長差が埋まんの?
リベロになるならハナシは別だけど」
「―……スパイカーの前の壁を切り開く…
その為のセッターだ」
静かに口を紡いでいた影山くんが、キュッと響くシューズの音と共に、日向くんの隣に立ってまっすぐに前だけを見据え口を開いた。
「…いいか。打ち抜けないなら躱すぞ。
お前のありったけの運動能力と反射神経で俺のトスを打て」