第8章 私が握る手
神楽の言った通り、玄関には誰もいなかった。
神「凛ちゃん…どこ行ったアルか?」
新「……銀さん!!手すりに紙が。」
見れば手すりに紙が綺麗に結ばれていた。
自然になるはずがない。
意図的に残されたものだ。
凛が置いていったのか。
俺は細長く折り畳まれた紙を広げた。
銀「……。」
新「何て書いてあるんですか。」
そこには詩が書かれていた。
そびえ立つ
杉に止まれば
松を見る
黒き翼は
坂を飛び行く
竹之宮
今までありがとう
ごめんなさい
神「凛ちゃんアルか?凛はもう戻ってこないアルか?」
銀「竹之宮ってのは、凛がガキの頃世話になってた家の主人の名前だ。」
新「じゃあ凛さんは、自分の意志で此処を出ていったって事ですか…。」
銀「………。」
俺は紙をクシャリと握り潰した。
━ 銀時side fin ━