第4章 新たな生活
源外のじいさんの話によると、母親はどこぞの田舎の小さな武家の娘だったらしい。
結婚もして幸せに暮らしていたらしい。
だが、その田舎が天人に襲われ夫も殺されたが我が子だけは、と命からがら逃げた。
遠くまで逃げていたが、疲労でとある村で倒れた。
だが、このままでは追手に追いつかれ、子だけでなく村まで襲われる可能性がある。
自分の指を噛んで血で布に名前と育てて欲しい旨を書き残し、涙を呑んで子供を置いていった。
程なくして、村から離れた所で捕まったという。
そのあとは天人の元で女中として働かされた。
だが戦争の折、その天人達は殺され解放されたが、子供の行方も安否もわからなくてどうしようもなかった。
ただ毎日、我が子を案じるだけの日々だった。