第2章 黒蝶(銀時side)
俺がガキの頃(と言ってもそこまでチビな頃じゃねぇが)、世話になっていた松陽先生の住む所の隣村に凛はいた。
村に年の近い子供がいないからか、そこまで遠くない俺らの元によく遊びに来ていた。
俺や寺子屋の他の奴らも、ちょっとした妹が出来たみたいにかわいがっていた。
明るくて活発で、皆に慕われていた。
男だらけの寺子屋に女一人。
まさに紅一点。
成長しても凛は遊びにきていた。
聞けば、血の繋がった家族はいなくて、村に棄てられていた凛を村人が世話したという。
だが所詮赤の他人。
居心地悪い所もあるのか、時間さえあれば頻繁に抜け出していた。
村では肩身が狭いんだ、と一度だけ呟いたのを覚えている
凛は寺子屋で、洗濯したり炊事したり…お手伝いさんみたいな感じだった。
でも男だらけだった寺子屋は大助かりだった。
もはや家族だった。
一緒に勉強もした。
だが、本格的な攘夷戦争に突入するほんの少し前、凛の村が天人に襲われた。