第8章 私が握る手
神「あは♪バレちゃった?」
そう言ってにこにことした青年が一人出てくる。
神楽の兄、神威だった。
高「今すぐに出ていけ。」
高杉が人を殺せそうな目で神威を睨む。
神「わかってるよ。お兄さんの邪魔はしないって。」
ヘラヘラしながら神威は凛の横を通りすぎようとする。
神「…彼を腑抜けにしたら…殺しちゃうぞ。」
凛の耳元で一言呟いて去っていった。
凛「どういう事よ…」
高「おい、来い。注げ。」
凛「あ、はいはい。」
神威の言葉に疑問が残ったが、高杉に呼ばれてすぐ考えるのを止めた。
そして高杉の真横に座って酌をする。
高「……。」
高杉はそんな凛の様子を、頬杖をついてじっと眺めていた。
凛「何。」
高「…いや。」
猪口に注がれた酒をクイッと煽り、コクリと飲んだ高杉は、凛の手から酒の入った徳利を取り、膳の乗った台に置いた。
凛「もう飲まないの?」
凛が聞くと高杉は無言のまま凛の手を掴み、ふいに身を引き寄せた。