第2章 幼少期
ふるふると震える金色の頭に俺は思わず手を乗せてしまう。
左右に動かして撫でる。
この行動で決壊したのか、ナルトは膝に顔を埋め、声をあげて泣きじゃくる。
寂しいんだ。怖いんだ。ひとりぼっちが。
誰かに認めて貰いたいんだ。
堂々と、街を歩きたいんだ。
「俺が、」
不意に零れた声にナルトは動きをとめ、膝から涙に濡れた瞳を覗かせた。
「俺が、友達になってやる。
寂しいなら、一人が嫌なら、認めて欲しいなら、俺が認めてやるし、そばにいてやる。だから、一人で泣くな......」
こっちまで、泣きたくなる。と、付け加えたら。今度は俺の服の袖を掴んで泣きじゃくり初めた。
上下する肩に手を置いて摩ってやる。
ガバッと急に上げた涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔で、きっと今彼に出来る精一杯の笑顔で、
「ありがどう、ザズゲェ......!」
そのブサイクな顔がひどく可愛らしく見えて、ぎゅっと抱きしめた。
♦︎
「サスケ!おはよう!」
次の日、ナルトが太陽も顔負けのいい笑顔で挨拶をして来た。
と、途端に一斉に俺たちに向けられる視線。
視線で、『え、なんですか。そのフレンドリーな雰囲気』と語っている。
「ちょっと、ナルト!あんたがサスケ君になに軽々しく挨拶してんのよ!」
いち早く再起動した女子が俺とナルトの間に割って入る。
サスケ君も迷惑だよねー、と決めつけた様に振り替えった女子にちょっとだけ吐き気がした。
「あのさ、あのさ!俺と、サスケはもう友達なんだってばよ!」
ふーん!と頬をゆるっゆるに緩めながら嬉しそうに笑って宣言するナルトに、こっちまで笑顔になる。
個人的にナルトはワンコだと思う。
「サスケ君があんたなんかと友達なわけないでしょ!ねーサスケ君!」
「いや、ナルトとは友達だが......」
「ほーらね、やっぱ......え?」
瞬間、教室内が凍りついた。
驚愕の声の大合唱まであと2秒。
♦︎
「あ、サスケのそれ旨そうだってばよ!ちょっと頂戴!」
昼時になった時、晴れて友達となったナルトとのお昼ご飯。
お互いの弁当を交換して食べる弁当は格別にうまい。
ナルトのは弁当と言うよりカップラーメンだが、中々美味しかった。
ん、と差し出した食べかけのおかかおにぎりに嬉しそうにかぶりついたナルトは美味しそうに口いっぱいにおにぎりを頬張った。