第2章 幼少期
お母さんが私に男装を義務付ける理由が今わかった様な気がします。
「サスケくん!すきです、わたしとつきあってください!」
どうやら私は殆どの子に『男』として認識されていた様です。
勘弁してほしいです。私だって女なんですから恋の一つや二つ位したかったのに......。
今や、機からみたら普通の男の子にしか見えないでしょう......。
「わるいけど、むり」
ええ、勿論私はレズじゃ無いのでしっかり断りますよ。相手には悪いですけれど。
案の定相手の女の子は泣きそうになって可愛らしいスカートの裾を力一杯握りしめていた。.......ちょっとだけ罪悪感があります。
ですが!ここで優しくして更に期待される様なことをしたら一番可哀想なのはこの子。
私はそこから音も立てずに立ち去った。
♦︎
ー2年後ー
「ただいま」
リビングでお母さんの手伝いをしていると、聞こえてきた兄さんの声。
今まで洗っていた皿を水で洗剤を洗い落として、走って玄関まで兄さんを迎えに行きます。
「にいさん!おかえり!」
靴を脱いでいる途中の兄さんの背中にぎゅっと抱きつくのが兄さんが帰ってきた時のお決まりになっています。
相変わらず兄さんの背中は温かくて、ホッとする。
「ただいま、サスケ」
兄さんはニッコリと笑って頭を撫でてくれる。
ついこの間から私では無く、オレ。ではなくサスケになったオレ。
それでも、変わらずに接してくれる兄さんが好きで好きで堪らない。
オレよりも大きな手も、ニコニコと笑う兄さんの顔も、全部が大好き。
「にいさん!きょう、とうさんにしゅりけんをならったんだ!」
「そうか、上手く行ったか?」
「んーん、ぜんぜん。にいさんにもとうさんにもおいつけない」
当たり前のことだが、まだ全然届かない。
兄さんはもう中忍に昇格していて任務を沢山受けている身だ。
まだ、アカデミーも卒業出来てないオレにはとても無理な壁だ。
それでも、今の所の俺の夢は兄さんと同じ位強くなって兄さんと一緒に任務をすることだ。