第1章 The day when the life changes
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今日は夕がバレー部の人にバレンタインの日に休む事情説明するらしい。
私はその付き添いをするために部活が終わるのを待っている。
ちなみに私が所属する生徒会はその日には活動はない。生徒会といってもイメージするような厳しさはなく、みんなほわほわしていると言ったら失礼かもしれないが、実際そうなのだ。
それが私には心地良くて、生意気にも副会長という地位が、居場所のように思えている。
でも私にとって、本当の自分でいられるのは幼なじみたちのそばだってことは知ってるし、自分でもわかっている。
猫を被って真面目な優等生を演じている、それが烏野高校における愛川成都の姿だ。
「お待たせっ!って、どうしたんだ?」
練習が終わったらしい夕がいつの間にか近くにいて、顔をのぞき込んでくる。
その顔が近くて、思わずドキリとする。
「んーまあちょっと考え事。」
そう答えれば夕は別段気にした様子もなかった。
「じゃあ行くか!」
なんだか緊張しているのは気のせいではないだろう。去年は今はいない最上級生にしか話していないのだから。
しかも気を使ってくれて、私たちが話しやすい環境にしてくれた。
だから新しくなったバレー部の面々はこのことを知らない。
私たちのそっとしておいてもらいたい部分を話すのだ。同級生だからって緊張する。