第1章 The day when the life changes
あの後、私達は変わった。
もちろん見た目とか性格とかではなく、言い表しづらい…人間の中核とも言えるものが。
夕は『守ること』に固執するようになった。
今だって烏野高校男子バレー部の守護神としてみんなを守っているし、何より男気溢れる彼はバレー以外のシチュエーションでも色々なものを守っている。
私も守られている1人だ。
私は私で学業に力を入れるようになった。
美雪から色々教えてもらったものを、私が引き継がなきゃって思ったから。
今では模試で名前が載るくらいにはなっている。
そんなこと振り返りながら、私は街を歩いて美雪へのチョコを探す。この生まれ育った街で最も似合うチョコを。
そのチョコと、ネット通販で買うチョコレートの香りと唱われたお香が、私が彼女にできる唯一の贈り物だから。
自己満足かもしれないけど、私たちと美雪を繋ぐものだから。
そんな理由で私は街を歩く。
などと純真無垢な理由で街を歩いていられれば良いのに。
いつからこんな愚かな考えをもつようになっちゃったんだろう。
もちろん美雪が大切だってことには変わりない。
お墓参りに行くのが苦になっていることはさらさらない。
…むしろそのせいで愚かな考えを持ってしまった。
バレンタインは夕と2人で過ごすことが出来るなんて思ってしまう自分がいる。
夕のチョコレートの方を優先的に選ぶ自分がいる。
(ごめんね。)
拭いきれない罪悪感。
もし。
もしも。
夕を好きにならなかったら、こんな思いを持たなくて済んだのかな。
(ごめんね。)
私はもう一度心の中で謝った。