第2章 Forbidden Lovers
そろそろ帰らなくてはいけない時間。
最後に…と思って私たちは観覧車に乗り込んだ。
「見て!綺麗…」
下には遊園地のイルミネーション。上には先ほどのプラネタリウムより淡い光の星空。キラキラと輝くその景色に、京治は柔らかい微笑みを浮かべていた。
その笑みに予想通り心臓は跳ねる。
ドクン。
ドクン。
ゆったりとした静けさに、鼓動は規則正しく響く。
「ねぇ、何考えてる?」
聞かなくても頑張ればわかるかもしれない。
でもわざわざ探る気にはならなかった。
「いや…ここで成都を犯したらどうなるんだろうな、と。」
「真顔で冗談はやめろ。」
やっぱり危ない。
けど、そんなところも含めて愛してしまうくらい私の心は京治に絡め取られている。
(まるで、蜘蛛ね…)
「本当はさ。」
私が黙ったの不安に感じたのか、京治が口を開く。
「成都のこと好きだって思ってた。」
「…っ!」
そんな不意打ち反則。
鼓動と愛おしさは加速していく。
「……私も京治が好き。…だーいすき。」
雰囲気に任せ、普段は演技でしか言えない甘い言葉を口にする。
(あ、照れてる。)
耳まで赤く染める京治の珍しい表情を見てからかおうと思ったが、彼の方が一足早かった。
左腕を勢いよく引っ張られ、体勢を崩す。
「…ん!」
刹那、唇が重なり、すぐに離される。
「いきなり…」
「ほらここ頂上だから。」
観覧車は何時の間にか最も高い位置に来ていた。
光が小さく、瞬く。
一度は聞いたことがあるジンクスはここにもあった。
『観覧車の一番上でキスをした2人は永遠に幸せでいられる』
真顔でも京治はきっとそれを知っててやっているのだろうから、可愛くてたまらなくなる。
どれだけ惚れさせれば気が済むんだ。
「永遠なんて信じるつもりはなかったけど。」
気まずそうに顔を背けた京治の一挙一動から目を離せない。
「成都との永遠なら信じられる。」
夜景は大きく強く光を放っていた。