第2章 Forbidden Lovers
カップルシートのソファーに座って上を見上げる。
まだ何も映し出されていない空に、これから映るであろう星空を想像する。
星は好きだ。
ただ純粋に綺麗っていうのもあるし、東京だとめったに見られないというのもある。
でも一番は、知らない世界が広がっているから。
双子で付き合ってるなんて、世界的にも数少ない例である私たちでも宇宙という広い世界なら許されるかもしれない、なんて。
自分の中に背徳感は確かに存在するのだ。
はっきりと光る星々。今日地上に届く光はいったいいつのものだろう。
幾星霜に思いを馳せていたら、なんだか感傷的になってきて、寂しさを紛らわそうと京治を見る。
(…って。)
隣にはうつらうつらと眠気と戦う京治の姿。
暗くて眠くなるなんて子供か!と突っ込みたいのは山々だが、あまりにも可愛くてその姿をずっと見ていたい気持ちにさせられる。
バレー部の練習大変なんだろう。
三年生が引退してから負担も大きいはず。
それなのに私のこともちゃんと構ってくれる。
服だってこの施設だって京治が調べてくれて、私は京治に頼ってばかり。
私は貴方の妹で、彼女で、幸せです。
私にとって言葉通り唯一無二の存在なんだ。
背徳感がいくら存在しても、私は京治が大切なんだ。
(…お疲れ様。)
優しく腕を引っ張ると、京治はとっさのことに反応できず、倒れ込む。
そしてそのまま、私の太腿に頭が乗っかった。
「成都…?」
まだ眠気と戦っているのか、少しの驚きを含みながらもぼんやりとした声。
京治が動く度に妙にくすぐったい。
「いいよ、寝て。星空の下で眠るなんて貴重な体験だし。」
ゆっくりと頭をなでる。ふわふわとした髪が指に絡んで心地よい。
安心したように寝息を立て始めた京治に、私は「ありがとう。」と囁いた。