第2章 Forbidden Lovers
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コン コン
軽くノックをすると中から「どうぞ。」と返事。
「はい、これ。」
キッチンで温めてきた二つのホットミルクを机に置く。
ちなみにこれ。
昨日私たちが互いに渡したチョコを入れている。ここでも考えは同じだったらしく、箱を開けてびっくり。同じ容器に入った同じチョコレートシロップだったのだ。
コトリと揺れたカップの中身は絶妙なハーモニーの甘さを辺りに広げる。
今日1日を香りで表したらきっとこんな感じだろうな。
「今日はありがとう。楽しかった。」
「こちらこそ。」
カップに口をつけると少し熱いそれが身体を通る。
「罰ゲームだからなにされるのかと思ってたから…なんか安心した。」
私はその言葉を表すように安堵の笑みを浮かべてみる。
が、対称的に京治は妖しく笑った。
「これで終わりなんて言った?」
さっと移動した京治は、私を横から持ち上げる。
とっさに私はカップを置いていた。
「何するつもり…?」
「わかってるくせに。」
益々妖しい笑みを浮かべる京治から逃げようとするが、勝てるはずもない。
そのまま横抱きにされ、ベッドに下ろされる。
「罰ゲームの有効期間は今日一日だったよな。」
蜘蛛じゃ甘かった。毒蜘蛛だ。
逃げようにも逃げられないし、何より逃げたいという気持ちもどこかへいってしまう。
神経はどんどん麻痺させられていく。
さっきまでのホットミルクの甘さを感じる余裕も無くなっていく。
私の身も心も将来という時間までもいつの間にか京治に絡め取られていた。
この危ない関係はいつまでも続いていくだろう。
私たちは禁断の恋人。
《Forbidden Lovers Fin.》