第2章 Forbidden Lovers
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ボールが床を滑るように転がる。
数秒後。
カコーンっ!
軽快な音を立て、ピンがなぎ倒された。
「…よしっ!」
「流石だね。」
モニターにはクロアゲハのようなストライクのマークが刻まれる。
「私も負けないけどっ!」
持ち前の負けず嫌いは何時でも発生する。
ボウリング場にて。
ここでもチラチラとこちらを見ていく人達がいた。
それもそうだ。あんなかっこいい京治があんなにかっこよくプレイしているのだから。
まあバレーの時の方がかっこいいとは思うけど、心の中でのろける。
「よしっ、ストライク~♪」
イェイと軽くハイタッチ。
とその時タイミングよく、場を盛り上げるような音楽がかかり、照明が暗くなる。
「ボーナスタイムっ!成功者にはお得なチケットプレゼント!」
順番は京治。
「ストライクお願いね!」と応援すれば、「もちろん。」と頼もしい返事。
そして有言実行で華麗にストライクを決めてくれた。
チケットを受け取る京治に飛びついて、内容を確認する。
「…これって…!」
プリクラの無料券をもらい、ゲームセンターへ。
カップルにはプリの無料券らしい。
(ちゃんとカップルに見られてるんだ…!)
「へぇ、こんなところなんだ。」
初めて入るプリクラに京治は興味があるみたい。
面白そうに目を細めている。
私は機械音の指示通り操作しながら、京治に聞く。
「ポーズどうする?」
「それは…」
ギュッと後ろから抱きしめられ、操作の手が止まる。
「誰にも見られないし。」
耳には囁きが、目には楽しそうな笑みが、背中には熱が。
全身で京治を感じていた。
「これ誰にも見せられないね。」
出来上がったプリクラを見て苦笑する。
恥ずかしくなるくらいの甘いプリ。
「だから、俺たちだけの秘密ってことで。」
「うん、秘密!」
『秘密』って言葉に楽しくなるのに歳なんて関係ない。
「で、成都はどこ行きたいの。」
「私は…」
観覧車に乗りたいとは思うけど、それにしては時間が早すぎる気がする。
観覧車は最後という暗黙の了解が互いの間にあった。
(あ、そうだ。)
「プラネタリウム!」