第2章 Forbidden Lovers
四限終了のチャイムが鳴り響き、いつものように昼食を一緒に食べるため京治のもとへ向かう。
そこで目にはいるのはチョコを受け取る京治。
少しだけもやっとした感情が湧く。
チョコをもらっているのに対して負けん気がおきたわけではもちろんなく、また嫉妬の感情でもない。
ただ鞄の中に眠っている私が用意したチョコの行方を不安に思っただけ。
渡さないという選択肢はないが、渡すタイミングを掴めない。
いっそ京治が他の男子達のように逆チョコをくれれば渡しやすいのになぁなんて。
「どうした?」
「や、別に。食堂行こ。」
食堂でも多くの人とチョコがやってくる。
私たちの周りには常にざわめく集団がいた。それもそうだ。なんたって今日一番目立っているのは私たちなんだから。
京治は涼しい顔をしているから、私が笑顔を振りまいておく。ちなみにこれはバレンタインなんて関係ない日常なのだが。
「へいへい!赤葦!!」
一際大きな声が集団をかき分けて来る。
「「なんですか。」」
「木兎先輩、どっちも赤葦じゃないですかー。あと2人ともあからさまにいやそうな顔しない。」
片づけようとして席を立とうとしたところに、木兎さんと玲奈という異色のコンビが現れる。
面倒なのには変わりないし、2人揃えば倍…いや二乗は面倒くさい。
無意識に嫌そうな顔にもなるだろう。
だが次の言葉が嫌そうな顔を一瞬にして変える。
「2人とも今日部活休みにしておいたから。」
「はっ!?」
食べていた手が止まる。
「これで2人は結果発表に心置きなく参加できるね!」
どや顔でピースしてくる友達を殴ってもいいですか。許されますか。お願いします。
というかなんてそんな権限をもっているのか。私的七不思議の一つだ。
「ちなみにバレー部はオレが話したんだぜ!」
こっちもこっちでどや顔してるし。
京治はもう反論する気も起きていないようだけど。
「木兎先輩どっちが勝つと思いますー?」
「赤葦だろ!」
「だからどっちも赤葦ですって。」
楽しそうに去っていく2人を見送りながら、私たちが同時にため息をついたのは言うまでもない。