第2章 Forbidden Lovers
「で、なにこれ。」
次の日。
珍しく朝練がない京治と一緒に登校すると、とあるポスターが目に入る。
そのポスターには昨日聞いたタイトルがどどーんと書かれている。
ご丁寧に上には『兄妹公認!』の文字まで。
私たちは呆れてため息をついた。
「ここまでになるとはな。」
「ああ、玲奈のする事っていっつも斜め上って感じ…」
先ほどから好奇な目を向けられ、正直面倒くさくなり、同時に昨日のやり取りを後悔した。
こっちにはなんにも得がないし。
きっと京治も同じことを考えてるだろう。
そう思って横を見ると京治は予想に反して笑っていた。ククッと喉を鳴らす。
「得がないなら、さ。」
ぽんっと私の頭に京治の手が乗せられる。
それだけで身体は熱を帯び始めた。
急なことに言葉を失って、立ちすくんだ私に気づいているのかはさておき言葉は続く。
「俺たちで作ればいい。罰ゲームとかつけてみるか…」
なんでこんなにも乗り気なんだ。
私は意図が読み取れず、軽く睨む。
と、京治の考えが流れ込んできた。
(罰ゲームとか称して、成都に色々やらせてみるか…)
「ちょっと!」
危ない。こいつの思考は危ないぞ。
警戒する目に気がついて京治が「なに。」と呟く。
なに考えてるんだというのはこっちの台詞だっ!と叫ぼうとして、止まる。
待て、罰ゲームがそれってことは私が勝てば京治を自由に出来るってこと?
私の考えが伝わったように、「勝てるならね。」と挑発的な笑みが視界に入る。
なに勝った気になってんのよ。
『プリンス』の名は伊達じゃない。
こっちだって負ける気はない。
それに罰ゲームって言うくらいなら、ハイリスクハイリターンじゃなきゃ面白くない。
「わかった。乗ってやる、その罰ゲーム。」
まるで鏡に映したかように私と京治のそっくりな自信に満ちた笑みが向かい合った。