第2章 Forbidden Lovers
私たちの恋は所謂、禁断と呼ばれるものだ。
では他にどんなものが『禁断の恋』と言われるのだろうか。
例えばロミオとジュリエット。
一言でいえば、『立場』における禁断の恋。
敵対している家に生まれてしまったから、こんな悲劇の恋も生まれてしまった。
他にも教師と生徒。
言うなれば、『倫理』的な禁断の恋。
教える立場にある教師と教えられる生徒の間に生まれた恋は、人々には簡単に受け入れてもらえない。
では、兄妹は?
前にあげた『立場』も『倫理』も理由に含まれるだろう。
でも一番の理由は『法律』に制限される禁断の恋。
日本の法では、三等親以内の親類の婚約が認められていない。
遺伝の問題とか真面目な理由はあるのだろう。
が、私にはこれを禁断と言うのは、法律以前にその実例が少ないからだと思う。
それを証明するような文が、夏目漱石が書いた『こころ』にある。
その文を紹介しておこう。
…終始接触して親しくなり過ぎた男女の間には、恋に必要な刺激の起こる清新な感じが失われてしまうように考えています。
確かにそうかもしれないとは思う。
だが、私は京治に恋をした。
京治もまた私を好きになってくれた。
恋のスイッチがいつどこにあったかはわからないが、京治を好きになり、それが変わりそうもないことは紛れもない事実だ。
この文を読む度、私たちに起きた奇跡に感謝したくなる。