第2章 Forbidden Lovers
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学校などの閉鎖された社会において、根付いてしまったキャラを変えるのは難しいということはよくわかっている。
「京治ー!教科書貸してー」
隣の教室の一番後ろの窓側の席に座る兄に後ろから抱きつく。
そうすれば京治は何も言わなくても、ため息をついて古典の教科書を出した。
言葉なしでも気持ちを通わせることが出来るのは双子だからか、特別なのか。
どちらにせよ私たちの間では『心の声』と言うようなものが聞こえる。
「サンキュー♪」
私は抱きしめていた力を強めた。
京治はますます呆れたような顔をする。
他から見れば、ただの双子のじゃれつき。見る人が見ればBLのように。
そんな私たちの通常運転。
でも残念。これは呆れてるんじゃない、我慢しているのだ。
(俺の我慢も考えろよ…)
ほら、やっぱり。
考えてますとも。考えた上の行動ですが。
抱きしめ合うのが好きなのは私も京治も変わらない。さすが双子。好みもそっくり。
家だったら何にも問題は発生しない。
愛し合っているのだし抱擁なんて普通だ。
だがここは学校。先に述べたとおりキャラというものが存在するのだ。
私も『プリンス』という名のキャラがあるから、学校では男っぽい口調になってしまう。
でも私よりもキャラというものに制限されているのは京治だろう。
先ほどの例で見てみよう。
私は学校で抱きついても日常茶飯事だ。なんにも問題ない。
でも京治が抱きしめ返す。それこそ一大事だ。京治の先輩の木兎さんなんて学年を超えて野次馬に来るだろう。
その代わりこんなことをしてからかった日には、家でが大変である。
家ではキャラなんて関係ない。
ついでに理性という名のストッパーも外れてしまう。
ハグからキスから…
普通の恋人の関係と変わらない行為。
そこにはみんなが知らない京治がいる。
私だけが知っている京治の顔。
それを嬉しく思うほど私は京治にゾッコンで、京治も私を愛してくれているって伝わってくるから、誰よりも幸せだって思ってしまうんだ。