第2章 Forbidden Lovers
私、赤葦成都には双子の兄がいる。
名は赤葦京治。
少しだけ私たちの話をしよう。
まずは生物学的に。
私たちは2人とも人間、ホモ=サピエンスだ。まあここで違っていたら双子とか以前の問題だが。
違うところとしては私がX染色体しか持たないのに対し、京治はXY両染色体を持っている。簡単にいえば、私は女で京治は男。
次に容姿。
一卵性という事もあってか、私たちは性別の枠を越えて似ている。
また私は『演劇部のプリンス』というあだ名がつくところから察せる通り、男装をしていることがしばしばあるので、男と見られる機会もそこそこ多かった。
若干の違いと言えば、私の方が目が大きい、身長が数センチ低い、髪が長いということくらいだろうか。
後は…性別によっての相違点はもちろんある。
性格の面ではどうだろう。
ここは結構違う気がする。
四字熟語で表すなら、京治は冷静沈着。
私はそうだな…天真爛漫?邪気がないといえば嘘になるかもだけど。
コミュニケーション能力の差が目に見える形になったとか言ったら、後でこっぴどく怒られそうだからオフレコな。
学校生活。
学業は同レベル。驚くほどに。
だから特に言いたいこともない。
そういうわけで部活。
京治はバレー部の副主将でセッターをやっている。二年なのに凄いなとお世辞抜きで思う。
そしてバレーをやっている京治は本当にかっこいい。生まれたときからずっといる私が言うんだから間違いない。
一方、私は演劇部。男子部員ももちろんいるが、先に言ったとおり私が男性役を演じている。他の男子部員曰く、「そっちの方が盛り上がるから。」と。
私も構わないし、京治に至っては「女役やるより心配がない。」と言っている。なんの心配かは大体わかるが、そんな心配必要ないと心の中でため息をついておく。
あー、恥ずかしくなってきた。
まだまだ話したいことはあるけれども、それは話せる時にでも。
あ、最後に1つ。
これだけは伝えておこう。誰にも秘密。
双子とかそんなこと関係ないけど、私たちの最大の類似点。
それは…
お互いを愛してしまったこと。