第1章 瞬く星空の下で
「ねぇ、会長!あっちで見ようよ!」
「ん?あぁ、いいよ。」
香奈さんは会長をさそい、みんなから離れたところへ行った。
あーそういうこと。
各々が好きな場所へいき、見始める。
私も、屋上の端へいき、一人でぽつんと空を見上げていた。
ぽん、と頭の上にのる大きな手のひら。
ほらね、一人でいると来てくれる。
そういう優しいところずるい。
斜め上を見ると愛しい彼の切ない顔。
そんな顔しないで。
「一緒に見ようぜ。」
「…うん。」
「香奈さんは、きっと会長が好きなんだよな。」
「でしょうね。」
「でも会長は副会長が好きで、副会長には彼氏がいて…。」
少しの沈黙。
複雑すぎるけど、
これが人間関係。…恋愛、か。
私は、いくつもの流れる遠くの星を見ながら、
彼の顔は見ずに涙を流しながらいった。
くらいから、私の涙にはまだ気づかない。
「香奈さんは会長が好き。雅留は香奈さんが好き。」
「な、なんで知って…!…聖美?」
私の言葉に驚いて私を見つめ、やっと涙に気付いた雅留。
そんな雅留を見つめて
「そして私は、雅留が好き。」
と、告げた。
「今は、気持ちに、応えられない…。俺やっぱ、香奈さん好きだから。」
「わかってる。でも、あきらめるつもりない。…でも、香奈さんとのことも応援してる。」
矛盾してることなんてわかってるけど、
雅留には笑っていてほしいから。
香奈さんとのことは応援する。
だけど、雅留の”今は”って言葉に期待してもいいのなら、
私の隣で笑っていてほしい。
私は、切ないループが嫌でこの流れ星に祈った。
みんなが笑っていられますように。
end